5月11日発行の朝日新聞 朝刊に向島園が掲載されました。
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県は昨年、茶農家や茶商などが情報交換する協議会を発足させた。各国の残留農薬
基準に対応した栽培方法を調べたほか、輸出支援チームや米ロサンゼルスと英ロンド
ンに支援窓口を置いた。輸出したい茶農家と茶商を結びつけ、海外の商談会や見本市
への出展を促そうとしている。
4月上旬には海外での抹茶需要に呼応する形で、島田市川根町家山に県内初となる
有機認証の「碾茶」の新工場が完成した。碾茶は抹茶の原料で、川根本町の茶農家と
牧之原市の茶商が組んで工場を造った。碾茶の県内生産量(県調べ)は昨年度400
トンを超え、7年前の倍となっている。
だが、米国や欧州、台湾など主な輸出先には、ものによって国内の数千分の一と厳
しい残留農薬基準があり、数年かけて茶畑を有機栽培に転換する必要がある。紅茶
や、安価で大量に流通する中国産緑茶が世界の市場を左右し、販路の新規開拓には英
語の壁や商慣習の違いが立ちはだかる。
世界の緑茶市場の動向に詳しい世界緑茶協会(静岡市)の西川博企画部長による
と、煎茶中心の国内需要と違い、海外は抹茶アイスや抹茶ラテなど食品加工用の原料
となる粉末茶の大口需要があり、中小規模の茶商や茶農家では対応が難しい。県の担
当者も「この数年の輸出拡大熱は一段落した格好だ」と認める。
杉本製茶に有機栽培の茶葉を出荷する藤枝市瀬戸ノ谷の茶農家「向島園」。園主の
向島和詞さん(30)は「現状はブーム。国内でちゃんと売らないと」と、輸出への
姿勢は冷静だ。
向島さんは密植を避け、剪定や施肥の回数を減らす独自の有機栽培法を手さぐりで
確立。茶園を約10年で8倍に成長させた。
向島園の売り上げは国内向けの通信販売が主体で、出荷量が多い海外向けはどうし
ても単価が下がる。向島さんは海外需要に手応えを感じながらも「どうやって利益を
出すのかを突き詰めないと」と気を引き締める。
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